自然エネルギー白書2015
2016年1月18日
当研究所は、日本国内の自然エネルギーに関する情報を編纂した「自然エネルギー白書2015」の全文を公開しました。
主な内容
自然エネルギー白書は、太陽光、風力、地熱、小水力、バイオマス、太陽熱など、国レベルの自然エネルギー政策の具体的課題から、地域での事業化や普及に向けた取り組み、各種のトレンド・データ、地域別ポテンシャルや導入状況、自然エネルギー100%を目指す長期シナリオなど、国内の自然エネルギーについて網羅的に情報をまとめてたレポートです。2015年版は、「エネルギーデモクラシー」をテーマに、各地で続々と立ち上がるご当地エネルギーの動向や、地域と調和した導入にむけた社会的合意形成の動向を取り上げています。
目次
まえがき「エネルギーデモクラシーの時代へ」
第1章 国内外の自然エネルギーの概況
1.1 はじめに
1.2 日本と世界の自然エネルギー
1.3 自然エネルギー政策とエネルギーミックス
1.4 FIT制度の現状と課題
1.5 電力系統への接続問題
【トピックス①~⑤】
第2章 自然エネルギー政策
2.1 エネルギー政策の動向
2.2 FIT制度の動向
2.3 電力システム改革の動向
2.4 コミュニティパワー~ご当地エネルギー
2.5 持続可能な社会と自然エネルギー
2.6 自治体の自然エネルギー政策
2.7 自然エネルギー普及策
第3章 自然エネルギー市場
3.1 自然エネルギー市場の動向
3.2 自然エネルギー事業主体
3.3 自然エネルギー産業
3.4 自然エネルギーの経済効果
第4章 自然エネルギー・データ集
4.1 自然エネルギー電力
4.2 自然エネルギー熱
4.3 自然エネルギーによる交通分野
第5章 自然エネルギー100%シナリオと地域
5.1 自然エネルギー100%シナリオ
5.2 自然エネルギー100%地域
第6章 提言とまとめ
6.1 自然エネルギー政策への提言
6.2 おわりに
謝辞
まえがき:「エネルギーデモクラシーの時代へ」
15年前には、世界全体で2000万kW弱だった風力発電は、昨年だけで5000万kW増え、累積ではついに原発の発電容量と肩を並べた。世界全体でわずか130万kWだった太陽光発電は、昨年だけで4000万kW増え、累積で原発の発電容量のちょうど半分に達し、3年後には肩を並べる見通しである。
昨年、世界で新設された電源の6割以上が自然エネルギーで、その投資額も世界全体で約36兆円と記録を更新した。今年12月のパリでの地球温暖化サミットに向けて、欧州は2030年までに自然エネルギー発電を45%に倍増する野心的な目標を立てるなど、各国とも自然エネルギーを地球温暖化対策はもちろん、エネルギー供給としても産業経済としても地域活性化としても、押しも押されもしない中心的な政策と位置づけている。
この状況は、15年前にはおよそ考えられなかったが、2つの大きな要因がある。1つは、小規模分散テクノロジーである自然エネルギーが、コンピュータと同じ「ムーアの法則」(技術学習効果)によって性能の向上と価格低下が継続的に生じ、多くの国では、いよいよ電気料金や他のエネルギーコストを下回り始めたことがある。「自然エネルギーは高い」は、すでに過去のものとなりつつある。
もう1つの、より大きな原動力は、エネルギーの大規模集中・独占から小規模分散・オープン化である。本来的に小規模分散技術である自然エネルギーが低コスト化するにつれて、地域コミュニティや一人ひとりの個人・グループでエネルギーを生み出し、自立する動きが世界中で澎湃(ほうはい)として起こっている。[中略]
世界で、そして日本で沸き起こってきた地域からのコミュニティパワーは、長く独占されてきたエネルギー政策・エネルギー業界を「民主化」すると同時に、コミュニティパワーという「実践デモクラシー」を通して社会を「民主化」する可能性を秘めている。これを「エネルギーデモクラシーの時代」と呼びたい。(認定NPO法人環境エネルギー政策研究所 所長 飯田哲也)
発行
編集・発行:認定NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)
発行日:2016年1月
※本書は独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の活動助成により作成されています。
関連情報
- データでみる日本の自然エネルギー(図表集)
- 「自然エネルギー白書2015」英語 要約版
- 「自然エネルギー白書2014」
- 「自然エネルギー白書2013」
- 「自然エネルギー白書2012」
- 「自然エネルギー白書2011」
- 自然エネルギー世界白書
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