3.7 太陽熱

市場動向

2016年の太陽熱利用システム市場は2015年から微減となった。2016年の主要メーカーによる太陽熱利用システム市場の新規設置台数は1万9千台となっている[1]。これは2015年から2万5千台から、24%減となり、2011年以降6年連続減少している。太陽熱利用システムには、主に自然循環型システム(以下、太陽熱温水器)と強制循環型システム(以下、ソーラーシステム)があり、販売数の80%以上は太陽熱温水器である。2015年のソーラーシステム販売台数は、約2.6千台であり、同様に減少傾向を続けている。

過去の導入量や廃棄量も考慮したストックベースでの導入量も引き続き減少しており、当研究所の試算によると、2016年の単年導入量に対してストックベースでの減少量は2.7倍大きくなっている。集合住宅・業務用における太陽熱利用は年によって導入数が大きく上下している。2015年の集合住宅・業務用への太陽熱利用システムの導入は86件であったが、2016年は105件であった。

空気集熱式の太陽熱利用システムを手がけるOMソーラーでは、屋外集熱試験を行うための試験装置を新たに設置した。2000年ごろに日本品質保証機構浜松ソーラーテクノセンターが廃止されてからは太陽集熱器の性能試験を担う第三者機関は存在しておらず、今回経済産業省による高機能JIS等整備事業の一環として設置された。

ソーラーシステム振興協会では、業界として太陽熱利用システムへの注目度を高めるため、「そらエネ」という名称を定め、普及活動を進めることを発表した。またZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)に注目が集まっていることから、太陽熱利用システムを用いたZEHの開発も進められている。NEDOでは2016年度から2018年度にかけて、太陽熱利用システムの導入コストを10%程度低減することを目指して、「太陽熱集熱システムの最適化手法の研究開発」を行なっている。

住宅向けの自治体の補助制度は一般社団法人ソーラーシステム振興協会の調査に対する回答から少なくとも2016年は223自治体が設けていて、その大半は住宅向けの設置補助やリフォーム時の資金への利子補給である[2]

図3.13 太陽熱温水器・ソーラーシステム単年度導入量およびストック量(1980-2015)

産業動向

太陽熱利用機器の製造メーカー、機器メーカー(販売)は2016年に21社となっている。太陽熱温水器は少なくとも10社、ソーラーシステムは18社、太陽光・熱一体型システムは5社が販売している。

3.8 太陽熱利用機器の製造な機器メーカー一覧(2016年時点、ISEP調べ)

企業名 太陽熱温水器 ソーラーシステム 太陽光・熱一体型 備考
アズマソーラー      
イースタン技研      
IFCJエコライフラボ     平板型集熱器販売
エナテックス      
OMソーラー   空気式集熱器
大阪テクノクラート     平板型集熱器販売
サンジュニア  
GF技研      
長府工産  
長府製作所    
チリウヒーター    
寺田鉄工所   真空ガラス管型
東京ガス     真空ガラス管型も扱う
東西商事      
ノーリツ  
パロマ      
富士エネルギー   ○   真空ガラス管型集熱器販売
富士ソーラー    
矢崎エナジーシステム  
コロナ      
パーパス      

出典:ソーラーシステム振興協会「ソーラーシステムデータブック2016」や各社ウェブサイトなどを参照

(ISEP 山下紀明)


[1]一般社団法人ソーラーシステム振興協会「太陽熱を学ぶ 設置実績」http://www.ssda.or.jp/energy/result/

[2]一般社団法人ソーラーシステム振興協会「助成制度について」

http://www.ssda.or.jp/service/assist/