2.8 100%自然エネルギーへの取組み

欧州連合(EU)では、2020年までに再生可能エネルギーを最終エネルギー消費の20%とすることを目指して加盟各国が目標を定めており、スウェーデンでは目標の49%をすでに超え、約54%に達した。日本とほぼ同じ規模の先進国として比較されることも多いドイツでも、発電量に占める再エネの割合が2000年の6%台から2016年には30%以上に達し、再エネの導入が最も進んだ国のひとつになっている。ドイツ国内では再生可能エネルギーの割合が100%を超える地域が着実に増えており、2017年7月までに92地域になったと評価されている(マスタープランを持つ地域も含まれる)。さらに58の地域と3つの都市が100%再生可能エネルギーを目指す準備地域として評価され、ドイツ国内の1/3に相当する153地域に達している。欧州各国でも100%再生可能エネルギー地域を評価する取り組みが始まり、100%再生可能エネルギーを目指す世界的なキャンペーンも展開されてきており、2017年5月には自然エネルギー100%世界プラットフォームが設立された[1]。国際的な再エネや気候変動に関連する研究機関やNGOが設立に参画し、今後の取組みの広がりが期待されている。

日本国内でも、これらの動きに呼応して様々な取り組みが始まっている。2017年9月に長野県長野市で開催された「地域再生可能エネルギー国際会議2017」は、これまでドイツなど欧州で開催を重ねてきた地域再生可能エネルギー会議を日本で初めて開催し、国内外から500名以上、各地の自治体関係者や専門家だけではなく、ドイツの関係自治体や専門家も多数参加した[2]。2日間に渡る会議の成果として「再生可能エネルギー100%地域を目指す自治体首長による長野宣言」が発出され、参加した自治体首長が再生可能エネルギー100%地域を目指して新たな取り組みと連携の決意を宣言している。

日本国内の基礎自治体の自然エネルギーの割合(エネルギー自給率)や食料自給率を推計して指標化する研究プロジェクト「永続地帯」から毎年、自治体毎のエネルギー自給率の数値が発表されている[3]。2015年度の時点で自然エネルギーが100%を超える基礎自治体は70以上あることがわかった。また、日本国内においても自然エネルギー100%プラットフォーム(事務局:CAN-Japan)により、100%再生可能エネルギーの様々な活動が紹介され、100%再生可能エネルギー100%を宣言する団体を募集しており、千葉商科大学が国内の大学として初めて宣言を行っている[4]

(ISEP 松原弘直)


[1] ISEP「「世界自然エネルギー100%プラットフォーム」法人設立のお知らせ」http://www.isep.or.jp/archives/library/10335

[2] 地域再生可能エネルギー国際会議2017 http://local-renewables-conference.org/nagano2017/japan/

[3] 永続地帯ホームページ http://www.sustainable-zone.org/

[4] 自然エネルギー100%プラットフォーム http://www.go100re.jp/