図1.3 2016 年度のエネルギーミックス(発電量の比率)|出所:資源エネルギー庁電力調査統計等よりISEP 作成
1.2 日本と世界のエネルギー
日本では自然エネルギーの発電量は 14.8% に(大規模水力含む)
図1.4 日本国内の自然エネルギーおよび原子力の発電量の推移|出所:ISEP 調査
世界では自然エネルギーが最終エネルギー消費の 19.3%(2015年推計)
図1.5 世界の自然エネルギーの最終エネルギー消費への割合|出所:GSR2017
世界の自然エネルギーの割合は19.3%と原子力(2.3%)を大きく上回る。近代的な自然エネルギーの割合10.2%のうち熱利用が4.2%を占め、水力発電が3.6%、他の太陽光や風力発電等が1.6%だった。
世界では自然エネルギーによる発電量が 24.5%(2016 年推計)
図1.6 世界の自然エネルギーの発電量の割合|出所:GSR2017
世界の発電量に占める自然エネルギーの割合は24. 5%で、約17%は水力発電、風力発電は約4%で、バイオマス発電が約2%、太陽光発電が1.5%を占めている。
太陽光
国内での導入量が約4,000 万kW にまで増加(2016年度末)
図1.7 日本の自然エネルギーによる発電設備容量の推移|出所:ISEP 調査
太陽光発電は2016年度末までに累積の設備容量が約4,000万kWにまで増加(系統接続の容量)。2012年7月に始まった本格的なFIT制度により、5年間で制度開始前の約7倍に達した。太陽光発電による年間発電量は、2016年度に国内の発電量の4.8%に増加したが、新規設備の系統への接続の制限やFIT制度の改正などが行われている。
2016年の年間導入量は860万kW(太陽光パネル容量)と前年から約20%減少したが、累積導入量ではドイツを抜き中国に次ぐ世界第2位に。
世界では太陽光発電の年間導入量が7,500万kW に達した(2016年)
図1.8 世界の太陽光発電の累積導入量の推移|出所:GSR2017
累積導入量(2016年末)3億300万kW
年間導入量(2016年末)7,500万kW
太陽光発電の累積導入量では日本が中国に次ぐ第2位になっている
図1.9 世界の太陽光発電の国別導入量ランキング(2016 年)|出所:GSR2017
累積導入量:
- 中国 77GW
- 日本 42GW
- ドイツ 41GW
- 米国 41GW
※ 太陽光パネル容量ベース
※ 1GW = 100万kW
風力
国内の風力発電の導入量は累積で約340万kW で、年間30万kW
図1.10 日本の風力発電の導入量|出所:JWPA データ等よりISEP 作成
2016年度末の累積の設備容量が338万kW になったが、年間導入量はいまだ約30万kWに留まる。環境アセスの手続きが進められている案件は1,500万kW以上(2017年11月末)。そのうち約600万kWがFIT制度の設備認定済み(2016年度末)。
世界では風力発電の累積導入量が4 億8,700万kW
図1.11 世界の風力発電の累積設備容量の推移|出所:GSR2017
世界の風力発電の年間導入量は5,500万kWに。(2016年)
中国では風力発電の導入量が累積で約1.7億kWに達し、年間2,000万kW以上
図1.12 世界の風力発電の国別累積導入量(2016 年)|出所:GSR2017
累積導入量:
- 中国 169GW
- 米国 82GW
- ドイツ 50GW
- インド 29GW
- スペイン 23GW
※ 1GW = 100万kW
太陽熱
立ち遅れた日本の自然エネルギー熱政策により太陽熱市場は縮小
図1.13 日本の太陽熱機器の導入量|出所:ISEP 調査
日本では太陽熱利用機器の新規導入が増えず、累積導入量は減少傾向にある。
世界の太陽熱利用機器の累積導入量は増加し10年間で約4倍に
図1.14 世界の太陽熱利用機器の累積導入量|出所:GSR2017
世界では、太陽熱利用機器の導入が着実に進んでいる。2006年からの10年間で約4倍に増加。
世界の太陽熱利用機器の導入量では中国が7割以上の圧倒的なシェア
図1. 15世界の太陽熱集熱器の追加容量|出所:GSR2017
太陽熱利用機器の導入量では、中国が圧倒的なシェアがある。中国の年間導入量は27GW熱で、第2位以下にはトルコ(1.5GW熱)やブラジル(約1GW熱)などの新興国が続く。デンマークでは、太陽熱地域熱供給の設備が100ヵ所を超える。日本の新規導入量は世界第19位。
バイオマス
日本のバイオマス発電でも木質バイオマスをFIT制度で導入し始めたが、燃料調達の課題が国内外であり、熱利用も進んでいない
図1.16 日本のバイオマス発電設備の累積導入量|出所:ISEP 調査
これまで廃棄物発電(一般廃棄物、産業廃棄物)が主だったが、FIT制度により未利用材や一般木質(輸入材やPKSなどの農業残渣を含む)など木質系の発電設備が増え始めている。調達する燃料の持続可能性や熱利用の普及が課題。
すべての最終エネルギー消費におけるバイオマスの割合は約14%
図1.17 世界のバイオマス発電および熱利用の燃料別シェア|出所:GSR2017
バイオマスの需要先としては約9割を熱利用が占める。6割は伝統的なバイオマス利用である。発電用は約3%に過ぎない。輸送燃料は約6%である。
世界でもバイオマス発電の発電量は増加しているが、燃料の持続可能性が課題
図1.18 世界のバイオマス発電の発電量|出所:GSR2017
バイオマス発電では、様々な燃料が使われるが、特に海外から木質ペレット、木質チップやPKSなどを輸入する場合、燃料の合法性・トレーサビリティや持続可能性の認証などが求められる。
地熱
地熱資源に恵まれた日本の地熱発電はFIT制度により新規の開発や導入が進み出した
図1.19 日本の地熱発電の導入量|出所:ISEP 調査
日本では地熱発電の新規導入が2000年以降停滞していたが、FIT制度により新たな資源調査や開発が増えている。FIT制度開始以降、約1.5万kWが新規に導入され、2016年度は約5,000kWが新規に導入された。特に小規模な温泉熱発電(バイナリー発電)の導入が九州を中心に進んでいる。
世界ではインドネシアやトルコなどで新規に地熱発電の導入が進んでいる
図1.20 世界の地熱発電の国別累積導入量|出所:GSR2017
世界の中では地熱資源が豊富な米国、フィリピン、インドネシアなどの国々で地熱発電が導入されている。日本の地熱資源量は世界第3位と言われているが、地熱発電の累積導入量は世界第10位。
世界では地中熱(ヒートポンプ)の利用が進んでおり、欧州では地域熱供給と組み合わせて利用され始めている。アイスランドや日本などの地熱資源が豊富な国では、地熱の直接利用が行われている。
水力
国内でも小水力発電の導入が進み始めている
図1.21 日本の中小水力発電の累積の導入件数|出所:ISEP 調査
中小水力の出力3万kW未満の設備がFIT制度の対象となり、中小規模の水力発電の導入が徐々に進んでいる。2016年度の新規導入量は約7.9万kW(100件のうち84件は1,000kW未満)。
世界で最も導入が進んでいる自然エネルギーは水力発電で約11億kW に達する。 最も導入が進んでいる国は中国で、ブラジル、米国、カナダが続く
図1.22 世界の水力発電の累積導入量シェア|出所:GSR2017
世界では、少なくとも2, 500万kWの水力発電が新規に導入された(2016年)。揚水発電も新規に600万kWほど新規に導入されている。
中国では水力発電が890万kW 新規に導入され、累積で3億kW を超える
図1.23 世界の水力発電の国別導入量|出所:GSR2017
日本でも大規模な水力発電を含めて2,200万kW導入されており、全発電量の8%程度を賄っている。揚水発電も2,600万kW以上導入されており、ピーク時の電力供給の安定化を担っている。
投資および雇用
日本では自然エネルギーへの投資額が1.6兆円(世界第4位)、自然エネルギー分野の雇用が31万人(2016年推計)
図1.24 FIT制度の仕組みと経済影響(2016年度)|出所:ISEP 作成
2016年の日本の自然エネルギーへの投資額は、前年から大幅に減少して約1. 6兆円となり、世界第4位の市場規模(約8割が太陽光発電)。
雇用においては、2016年には太陽光を中心に約31万人の雇用があると推計されている。
世界では自然エネルギーへの投資額は2,500億ドルで前年比23%減少
図1.25 世界の自然エネルギー投資額|出所:GSR2017
世界では、すでに化石燃料の発電設備への投資額の2倍以上の投資が自然エネルギーの発電に対して行われている。
2016年は、太陽光発電などの発電設備コストが低減したため、投資額は前年比23%減少した。
世界では自然エネルギーによる雇用が約980万人(2016年)
図1.26 世界の自然エネルギーの雇用者数(2016年)|出所:GSR2017
雇用人数:
- 中国 364万人
- ブラジル 88万人
- 米国 78万人
- インド 39万人
- ドイツ 33万人
- 日本 31万人
- バイオエネルギー 280万人
- 太陽エネルギー 395万人
- 風力エネルギー 115万人
- 水力エネルギー 150万人