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【プレスリリース】エネルギー基本計画の「5つの大罪」〜白紙撤回し、ゼロから出直せ〜

エネルギー基本計画の「5つの大罪」
〜白紙撤回し、ゼロから出直せ〜

2014年4月11日
認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所

2011年3月11日の東日本大震災および、今なお続いている東京電力福島第一原発事故は、日本はもとより、世界の原子力の歴史に残る大事故であることは論を待たない。世界中が息を飲んで注視する中、東京電力と日本政府はその大事故への対応で根本的な機能不全を露呈したばかりか、その事故を招いた原因が歴代の政府、規制当局、事業者、学会、そしてメディアに至るまで、人々の命と社会を真剣に守ろうとする責任感を欠落させた「人災」であった。
ところが、本日(2014年4月11日)、閣議決定された「エネルギー基本計画」は、以下に示すとおり、「5つの大罪」とも言うべき根源的な過ちを犯しており、けっして認められるものではない。「エネルギー基本計画」は白紙撤回し、ゼロから出直すことを求める。

【大罪その1】 「脱原発」の公約違反

自民党も公明党も、2012年暮れの衆議院選挙では「原発依存度の低下」(自民党)や「脱原発」(公明党)といずれも脱原発ないしは原発依存度の低下を訴えて政権復帰を果たしている。しかしながら、閣議決定された「エネルギー基本計画」は、全く逆に原発維持・推進を前面に出しており、明白な公約違反である。

【大罪その2】 福島第一原発事故からの反省・教訓がゼロ

閣議決定された「エネルギー基本計画」での与党内協議の過程で、序文に掲載されていた「福島原発事故への反省」がいったん削除されたのちに、部分的に記述が戻された。そうした「言葉遊び」がどうあったとしても、現実として、福島原発事故調査は早々に打ち切られた。また、基本計画全体をとおして、汚染水の漏えいや原発避難者など今なお続く福島原発事故への真摯な反省やそこから教訓は実質的に認められない。

【大罪その3】 国民の意思を無視し踏みにじる

脱原発を支持する国民の意思を無視している。2030年における原発比率の選択肢(ゼロ、15%、20〜25%)とその背景・データなどの情報を示した上で、全国11ヶ所で意見聴取会を開催し、パブリックコメント、討論型世論調査を行うなど、前政権下における従来にはない開かれた国民参加型のプロセスを通して民意が示されている。前政権下で閣議決定された「革新的エネルギー・環境戦略」は棄却するとしても、その前提となった民意を無視し踏みにじることはできない。

【大罪その4】 「基本計画」に値しないデタラメな内容

そもそも内容が福島第一原発事故後に明らかになったさまざまな事実や知見をまったく反映していないばかりか、まるで福島第一原発事故が無かったかのような書きぶりである。311前に横行していた原発の安全神話、安価神話、安定供給神話に舞い戻ったばかりか、核不拡散の観点から国際的にも疑問視されており、実態として完全に破たんしている高速増殖原型炉もんじゅや六カ所再処理工場など核燃料サイクルの維持を打ち出し、全般にデタラメな内容が多く、「基本計画」の名に値しない。

【大罪その5】 未来への無責任

今、世界全体は、大規模・中央集中・独占型の体制から、小規模・地域分権・ネットワーク型への大きな体制変化が起きつつある。そうした中で、その原動力になっている再生可能エネルギーの目標値を見送るなど、再び「過去に逆走」するかのようなエネルギー基本計画は、日本の未来にとってあまりに無責任である。

※この新しい「エネルギー基本計画」の問題点や構造的欠陥を踏まえた現実的なエネルギー政策の提言を以下の添付資料「新しいエネルギー基本計画の問題点~構造的欠陥を踏まえた現実的なエネルギー政策の提言〜」に示す。

【添付資料】ブリーフィングペーパー「新しいエネルギー基本計画の問題点」(PDF)

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東京都中野区中野4-7-3
TEL: 03-5942-8937
FAX: 03-5942-8938
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