文字サイズ
標準
拡大

【プレスリリース】「エネルギー永続地帯」2013年版試算結果(速報版)の公表について

千葉大学倉阪研究室 + 認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所

国内の市区町村ごとに再生可能エネルギーの供給量を推計する「エネルギー永続地帯」研究の最新結果(2012年3 月現在)によると、域内の民生・農水用エネルギー需要を上回る量の再生可能エネルギーを生み出している市区町村(「100%エネルギー永続地帯」)は、50 市町村となった。エネルギー種ごとにみると、2009 年11 月の太陽光発電の余剰電力固定価格買取制度の影響で太陽光発電が引き続き40.6%増加したが、風力発電が3.4%の増加にとどまるなど、全種全量の固定価格買取制度の導入の前に投資控えが発生したこと、再生可能エネルギー熱供給が引き続き減少傾向にあることなどから、国内の再生可能エネルギー供給は、5.2%の増加にとどまったことがわかった。

100%エネルギー永続地帯市区町村は、2町村減少して50 市町村に
域内の民生・農水用エネルギー需要を上回る量の再生可能エネルギーを生み出している市区町村(100%エネルギー永続地帯)は、1町増加したものの、2 町村減少して50 市町村になりました(表2)。また、域内の民生・農水用電力需要を上回る量の再生可能エネルギー電力を生み出している市町区村(100%電力永続地帯)は、2町村増加し、3町減少して、85 市町村となりました(表3)。これらの変化については、主に、エネルギー需要量の変動が影響しているものと考えられます。

2009 年11 月の太陽光発電の余剰電力固定価格買取制度の影響で太陽光発電は40.6%増加、しかし、他の再生可能エネルギー電力は全種全量の固定価格買取制度の導入の前に投資控えが起こる。
2011 年3 月から2012 年3 月にかけて、太陽光発電が40.6%増加しました。これは、2009 年11 月の太陽光発電の余剰電力固定価格買取制度の効果が引き続き得られているためといえます。一方、風力発電は2010 年度に12.5%増加しましたが、2011 年度は3.4%の伸びにとどまっています。これは、固定価格買取制度の導入を前にして、投資控えが起こったためと考えられます。

2011 年3 月から2012 年3 月にかけて、国内の再生可能エネルギー供給は5.2%増加
2011 年度に、再生可能エネルギー電力供給は、6.8%増加しました(2010 年度は6.5%増)。一方、再生可能エネルギー熱利用は引き続き減少し、1.4%の減となりました(2010 年度は1.2%減)。この結果、2011年度に、国内の再生可能エネルギー供給の総量は5.2%増加しました(2010 年度は4.9%増)(表1)。国全体での地域的エネルギー需要(民生用+農林水産業用エネルギー需要)の伸び(3.5%増)にかかわらず、再生可能エネルギーによるエネルギー供給は地域的エネルギー需要の3.64%にわずかながら増加しました(2011 年3 月段階では3.58%)。

再生可能エネルギー熱供給が、約2 割を占める
再生可能エネルギーの中でも、太陽熱利用、地熱利用、バイオマス熱利用からなる再生可能エネルギー熱利用が、全体の18.8%を占めています。これらの熱利用は固定価格買取制度の対象となっていないため、今後、その利用促進策が求められます。

8 県で再生可能エネルギー供給が域内の民生+農水用エネルギー需要の10%を超えている
2012 年3 月において、再生可能エネルギーによるエネルギー供給が域内の民生+農水用エネルギー需要の10%を超える都道府県は8 県あります。大分県(19.9%)、秋田県(18.4%)、富山県(16.6%)、長野県(13.8%)、青森県(13.5%)、鹿児島県(11.3%)、岩手県(10.9%)、島根県(10.0%))。また、2012 年3 月において、面積あたりの再生可能エネルギー供給量が最も多い都道府県は神奈川県であり、以下、富山県、大分県、愛知県、大阪府、東京都、佐賀県、鹿児島県、群馬県、熊本県の順となっています。

今後、設備量の更なる把握、過去のデータの再集計、都道府県別の特徴の分析、食糧自給率とのマッチングなどを行い、本年12 月を目途に確報版を公開する予定です。

※以下の表や資料など詳細はこちら: 永続地帯2013年版速報版記者発表資料(PDF)

図表一覧

  • 表1: 日本の再生可能エネルギー供給量の推移
  • 表2: 再生可能エネルギー自給率(再生可能エネルギー供給量/民生用・農林水産業用エネルギー需要量)が80%以上の市町村一覧
  • 表3: 再生可能エネルギー電力自給率(再生可能エネルギー電力供給量/民生用・農林水産業用電力需要量)が80%以上の市町村一覧
  • 表4: 都道府県別ランキング(2012年3月末時点)

資料1: 「永続地帯」とは
資料2: 2013年版「エネルギー永続地帯」の試算方法
資料3: 試算結果に基づく政策提言

※都道府県別の推計データのグラフ(ISEP作成)はこちら(PDF)

エネルギー永続地帯:都道府県別の自然エネルギーの割合

エネルギー永続地帯:都道府県別の自然エネルギーの割合

以上