【プレスリリース】eシフト声明|今こそ原発ゼロの決断を
2012年9月4日
【声明】今こそ原発ゼロの決断を
2012年9月3日
eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)
原発ゼロ・パブコメの会
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8月28日、政府は将来の原子力発電の比率を巡る「国民的議論」を検証する専門家会合を開催し、「戦略決定に向けて~国民的議論が指し示すもの~(案)」を取りまとめました。そこには「大きな方向性については支持率の数字で把握した上で、国民的議論で得られた意見の理由や考え方を見極めて、戦略の具体化を図る。」とされています。eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)および原発ゼロ・パブコメの会は、福島原発事故の被害に鑑みれば、また即時を含めできるかぎり早期の原発ゼロを求める多数の市民の声を受ければ、原発ゼロの決断は必然であることを訴えます。また最終決定プロセスの公開を求めます。
1.福島原発事故の深刻な被害について説明不十分のまま進められた国民的議論
今回の国民的議論での最も大きな問題点は、福島第一原発事故がひき起こした被害の現状について十分な情報が提供されないままに、エネルギー比率についての議論がなされたことです。
福島県内外では今も16万人以上が避難生活を続け、県内の広い地域が居住不可能となりました。原発事故関連死者数は約600人ものぼると報道されています。プルトニウムの飛散が1年半もたってから、こっそりと発表される中で、被ばくにさらされながら、生活手段を確保できる最低限の保証もなく、避難できず、自主避難すれば生活手段を失ってしまう地域に住む何万、何十万の生活者がいます。その苦悩がまったく説明されないで、国民的議論の意見聴取が行われました。被害は福島県にとどまらず、東北・関東でも多くの市民が、目に見えない放射能への恐怖と不安の中で日々暮らしているのです。原発事故は二度と繰り返してはなりません。そこが議論の原点となるべきです。
2.即時を含め「原発ゼロ」を求める多数の市民の声から、原発ゼロが唯一の選択肢
上記のような問題点を抱えた国民的議論においてすら、パブコメで約9割、意見聴取会・討論型世論調査でも原発ゼロシナリオが過半数を占めたことを考えれば、市民の意見を反映した政府の選択は、ゼロシナリオ以外にありえません。出来るだけ早期に原発ゼロを達成することを私たちは求めます。危険な原発は再稼働させずに、安心して暮らせる日本を実現してください。もし、事故の被害が事前に十分に説明され、放射能がひき起こす取り返しの付かない深刻な被害の危険性が認識されれば、経済性やエネルギー比率の議論以前に、「原発は日本には危険すぎる」と考え、原発ゼロシナリオ、即時のゼロを選択する人はさらに増えていたでしょう。
1)パブリックコメント
パブリックコメントは、国民的議論の手法のなかで唯一市民全員が参加できるものです。告知期間・方法ならびに募集期間の全てが充分とは言えない中で、8万9000件以上の声が届けられた事実は大きいものです。同意見のコピーがほとんどなく、それぞれが自分の言葉で書いている点も重要です。その中で、87%が原発ゼロ、8割が即時原発ゼロを主張しています。
2)討論型世論調査
情報提供や熟議により原発ゼロを選ぶ人が増えたことが示されています。メディアの世論調査とパブリックコメントとの原発ゼロ比率の差を見ても、より十分な情報を得ている人ほど原発ゼロシナリオを選ぶことが明らかとなっています。
3)福島からの声
福島県民の意見を聴く会および福島県内での民間主催の会合では、ほぼ全ての参加者が即時原発ゼロを主張し、具体的な政策を求めています。福島第一原発事故のような重大な被害を二度と繰り返さないという観点からも、この声は無視されてはなりません。
2.最終決定のプロセスであるエネルギ―・環境会議の公開を
検証会合での指摘を踏まえ古川国家戦略相が取りまとめてエネルギー・環境会議に報告、そこで最終決定がなされる予定となっていますが、これほど重要な決定を行うエネルギー・環境会議は、公開で行うべきです。福島第一原発事故後の原子力・エネルギー政策見直しは全ての国民がステークホルダーであり、密室・短時間の議論で決められることはあってはなりません。傍聴やインターネット中継を行い、すべて公開すべきです。閣議と同じとして非公開にすることは、国民への説明責任の放棄です。
■このプレスリリースに関するお問い合わせ
eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)
Tel: 03-6907-7217(国際環境NGO FoE Japan内) Email: info@e-shift.org
※e シフトとは 2011 年 3 月 11 日の福島第一原発事故を契機に、脱原発と自然エネルギーを中心とした持続可能なエネルギー政策 を実現させることを決意した、団体・個人の集まりです。2012 年 5 月現在約 60 の団体、200 名以上が参加しています。