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【プレスリリース】 地域間連系線等の強化に関するマスタープラン研究会 中間報告書に関する意見書

「電力システム改革専門委員会」(以下「専門委員会」という)の下に設置された「地域間連系線等の強化に関するマスタープラン研究会」(以下「研究会」という)において中間報告書が取りまとめられた。私たちは中間報告書を下記のように見直すよう要望する。

1.広域運用を前提とした系統増強を検討すべき
電力システム改革に係る検討は、一義的には専門委員会において行うこととされてはいるが、「地域間」という本研究会の名称にも表れているとおり、全般的に既存の地域別電力会社の体制を前提とした議論にとどまっている。広域運用のあり方については充分に議論がなされておらず、広域運用を前提とした場合の系統設計・運用のあり方、そしてその費用や工事期間に関する具体的情報が不足している。
発送電分離や広域運用を前提とする抜本的な視点の変更が必要である。

2.2030年までのロードマップとそれ以降の拡充をおこなうべき
本研究会では、中長期(5~10年程度)の地域間連系線等の増強等に向けたロードマップを策定するとされており、2020年度までは一定のロードマップが示されているが、例えば基本問題委員会においては2030年に向けたエネルギー基本計画が議論されている。少なくとも2030年までの具体的ロードマップを示すべきである。また今後の状況変化に応じてロードマップを柔軟に拡充する仕組みを設けるべきである。

3.再生可能エネルギーに対応する系統増強ロードマップを示すべき
大規模電源停止リスクに対するFC増強については、具体的な規模と期間がロードマップに示されているが、再生可能エネルギーの導入拡大対応を目的とした地域間連係線の増強に関してはすべて今後の検討という曖昧な位置づけとなっている。再生可能エネルギーの具体的導入量を示したうえで、地域間連係線および地内送電網の速やかな整備、増強に対応する具体的ロードマップを示すべきである。
また、北本連係線、相馬双葉幹線以外の地域間連係線については、喫緊の設備形成が必要なものは想定されないとしているが、ESCJの「風力発電連系可能量確認ワーキンググループ」中間報告書においては、地域間連係の増強が風力発電連系可能量増加に役立つ地域があることを示している。すべての地域間連係線について予断なく、増強の具体的容量と期限をロードマップ化すべきである。

4.系統増強に係る発電事業者の費用負担を見直すべき
中間報告書では、再生可能エネルギーの導入拡大を図る観点から必要となる系統増強に係る費用は発電事業者の負担とした「総合資源エネルギー調査会電気事業分科会制度環境小委員会中間とりまとめ」をそのまま引用しているが、調達価格等算定委員会においては、発電事業者の負担は変電所等接続ポイントまで、という資料が資源エネルギー庁から示されている。本研究会においても予断なく費用負担のあり方について検討すべきである。

5.再生可能エネルギーの供給力評価を促進すべき
風力は低気圧の場合に発電し、太陽光は高気圧の場合に発電を行うという補完関係にある。これらを個別に議論するのではなく、両者を一体として供給電力量(kWh価値)および供給力(kW価値)を論ずるべきである。欧州では広域設置や気象予測の活用、他電源設備との補完運転等により、準ベース供給力として位置付ける例もある。当面は海外の豊富なデータを活用しながら、今後は国内の風力、太陽光に関する積極的なデータ蓄積に努め、供給力評価を促進すべきである。

6.FCや連係線の増強に関してはオープンな国際見積を実施すべき
FC増強における工事費用と期間に関して監査法人による検証が実施されているが、これは過去の事例と比べ重大な齟齬がないことを評価したに過ぎない。工事費用と期間については、最新の知見に基づきオープンな国際見積を実施すべきである。FC増強以外の連係線増強や地内送電網増強に関する工事費用と期間については第三者による検証がなされていないため、これも実施すべきである。

7.地域間連係線の運用容量を早急に見直しすべき
地域間連係線の「運用容量拡大」と「運用容量超過」については検討の方向性が示されているが、「運用容量見直し」については方向性が示されていない。「運用容量見直し」についても早急にESCJにおける具体的検討を求めるべきである。

以上