文字サイズ
標準
拡大

the LOW-ATUS × ISEP エネルギーデモクラシートーク&ライブ(開催レポート掲載)

当研究所は、ソーシャル・クリエイティブ・プラットフォームわわプロジェクトが主催する「えらべ未来 第3回 3.11映画祭」にて、下記の通り、トーク&ライブ・イベントを開催しました。(2016年4月6日、開催レポート掲載)

開催レポート

曇り空でまだまだ寒く、冬の気配が残っていたイベント当日は、たくさんの参加者が開場を待つ列に並び、期待が高まる様子が伝わってきました。開場から開演までの間、ステージのスクリーンには河合弘之監督により現在製作中のドキュメンタリー映画『自然エネルギー 未来からの光と風(仮)』の予告編が流されました。

トークセッション

トークセッションの冒頭、 スマートフォンで参加できる「自然エネルギークイズ」が行われました。現在の世界と日本の自然エネルギー普及状況について、登壇者と参加者がゲーム感覚をもって学ぶ機会となりました。

次に、「エネルギーデモクラシー」を考える上で重要な「実践」について、3.11後、福島の会津地域を拠点として、仲間と共に太陽光発電事業をはじめた佐藤彌右衛門さん(会津電力)から、原発事故以前は地域のエネルギーについては深く考えてはいなかったものの、事故をきっかけに会津地域の豊かな自然エネルギー資源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)の存在に気付き、次の世代に豊かな地域を引き継いでいく上で自分たち自身の手で自然エネルギーに取り組むことが大事だと考え、実際に活動を展開してきたことが話されました。

細美武士さん、TOSHI-LOWさん(the LOW-ATUS)からは、3.11後にそもそもなぜ日本がこれほど原発を推進してきたのか、まずは知ることからはじめようということで、東北ライブハウス大作戦OnUstream特別編「ラッコでもわかる原発問題」で日本のエネルギー政策の歴史的背景を勉強したことが話されました。また、仲間と一緒に太陽光発電についても知識を深め、太陽光発電で稼働する「猪苗代野外音楽堂」を立ち上げたりするなど、知ることからはじめ、知った上で自ら行動に移すことを実践してきたことが話されました。

飯田哲也(環境エネルギー政策研究所)からは、中国のことわざ「百聞は一見にしかず(いくら人から聞いても、自分で見なければ本当のことはわからない)」には、「百見は一考にしかず」「百考は一行にしかず」「百行は一果にしかず」という続きがあり、「いくらたくさん見ても、考えなければ前に進まない」「どんなに考えても「行動」を起こさなければ前には進まない」「どんなに行動をしても、成果を残さなければ成長しない」ということが話されました。3.11後、全国各地で立ち上がったご当地エネルギーの担い手たちは、自然エネルギー映画の上映会のような場で学ぶきっかけを得て、その後、実際に自然エネルギー事業をはじめた方もいて、そうした一人一人の学習と行動が日本のエネルギーデモクラシーにとって非常に重要であるということが話されました。

その後、4月からの電力小売全面自由化を前にして、細美さんからは「自分たちは一体どんな電力を選んだらいいだろう?」という疑問が投げかけられ、司会の古屋将太(環境エネルギー政策研究所)からは「LOW-ATUS電力をつくって、電力を供給する側になってみたらどうでしょう?」というアイディアも出されました。

1時間という短い時間の中で、まだまだ議論したいことがありつつも、今後もこういった場を続けていこうということで登壇者の意見は一致し、トークセッションが終了しました。

弾き語りライブ

トークセッションに続いて、the LOW-ATUSによる弾き語りライブが行われました。

イベント概要

日時:2016/3/13(日)16:00~18:00(15:00開場)
会場:アーツ千代田 3331 2F体育館
出演:the LOW-ATUS、佐藤彌右衛門、飯田哲也、コーディネーター:古屋将太
参加チケット:1500円(※ チケットは完売しました
Webサイト:http://311movie.wawa.or.jp/event/03.html

[スケジュール]
16:00~17:00 トーク
17:00~18:00 the LOW-ATUSアコースティクライブ

全国各地で自然エネルギーに取り組む人たちが次々と増えています。また、地域の人たちを中心に進める自然エネルギーは「コミュニティパワー」と呼ばれ、国際的なムーブメントを生み出しています。
そんな歴史的なエネルギー転換の動きを収録すべく、河合弘之監督のもと現在制作中の映画『日本と自然エネルギー』をプロデュースする飯田哲也(ISEP)、福島からエネルギー革命を進める佐藤彌右衛門(会津電力)、精力的に東北で支援活動を続けるthe LOW-ATUS(細美武士&TOSHI-LOW)の4人がエネルギーデモクラシーをテーマにトーク&弾き語りライブ。

主催:特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所
共催:わわプロジェクト

※ 本イベントは独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて開催します。

独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金

ゲスト紹介

the LOW-ATUS

細美武士(the HIATUS/MONOEYES)とTOSHI-LOW(BRAHMAN/OAU)によるバンド。2011年、3.11におきた東日本大震災以降、精力的に支援活動を続ける二人が、それぞれバンド活動と並行し被災地を中心とした弾き語りでのライブを開始。同じステージに立つことも多く、その中で自然発生的にユニット活動を開始した。
細美武士  www.takeshihosomi.com
TOSHI-LOW  www.tc-tc.com

the LOW-ATUS

飯田哲也(いいだ・てつなり)

認定NPO法人環境エネルギー政策研究所所長。1959年、山口県生まれ。京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻修了。東京大学先端科学技術研究センター博士課程単位取得満期退学。 原子力産業や原子力安全規制などに従事後、「原子力ムラ」を脱出して北欧での研究活動や非営利活動を経てISEPを設立し現職。自然エネルギー政策では国内外で第一人者として知られ、先進的かつ現実的な政策提言と積極的な活動や発言により、日本政府や東京都など地方自治体のエネルギー政策に大きな影響力を与えている。

飯田哲也(いいだ・てつなり)

佐藤彌右衛門(さとう・やうえもん)

会津・喜多方の地で江戸時代より続く合資会社『大和川酒造店』の九代目社長。2011年3月の福島第一原子力発電所事故をきっかけに、原発に頼らないエネルギーの地産地消をめざし、地元の自然エネルギーを利用するべく一般社団法人『会津自然エネルギー機構』を立ち上げ、理事に就任。一般社団法人 全国ご当地エネルギー協会 代表理事。

佐藤彌右衛門(さとう・やうえもん)

コーディネーター:古屋将太(ふるや・しょうた)

認定NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)研究員。デンマーク・オールボー大学大学院にて博士号取得(Community Energy Planning)。地域参加型自然エネルギーにおける合意形成支援に取り組んでいる。著書に『コミュニティ発電所原発なくてもいいかもよ?』(ポプラ新書)。

古屋将太(ふるや・しょうた)