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国内の2023年度の自然エネルギー電力の割合と導入状況(速報)

自然エネルギー電力の割合は26%に達し、VREは12%超に

日本国内で自然エネルギーがどれだけ導入されているかを評価するため、年間発電電力量に占める自然エネルギーの割合、FIT制度で導入された自然エネルギー発電設備の容量、電力需給エリア別の割合などについて、2023年度末までの最新データを速報値として示す。

要旨

  • 2023年度の日本国内の年間発電電力量に占める自然エネルギーの割合は26%に達した。一方、化石燃料は66%まで減少し、原子力も8%程度に留まった。太陽光発電と風力発電を合わせた変動性自然エネルギー(VRE)の割合は12%に達している。
  • 系統接続された太陽光発電の設備容量(ACベース)はFIT制度による導入状況から2023年度末の累積で約7300万kWとなったが、年間導入量は約200万kWまで減少した。一方、風力発電は年間導入量が初めて100万kWまで増加し、累積導入量が約600万kWに達した。
  • 電力需給エリア別の自然エネルギーの年間電力量の電力需要に対する割合では、北海道と東北エリアで41%と最大になり、変動性自然エネルギー(VRE)の割合では、東北エリアが19.4%で最大だった。VREの出力抑制では、九州エリアが8%を超え過去最大となった。

2023年度の自然エネルギー電力の割合

日本国内での2023年度の自然エネルギーによる年間発電電力量の割合を推計したところ前年度から約1.6ポイント増加して26.1%となった(図1)。これは、第6次エネルギー基本計画で2030年度の目標とされている目標(36~38%)の約7割に相当するが、なお約12ポイント分の自然エネルギーの増加が必要である。日本国内では2012年度まで自然エネルギーの年間発電電力量の割合は約10%程度で推移していたが、特にFIT制度による自然エネルギー発電設備の導入により2013年度と比較して2023度には自然エネルギーの年間発電電力量は約2.2倍に増加した。最も増加した自然エネルギーは太陽光発電で、国内の年間発電電力量の11.3%に達し、前年度の10.6%から約0.7ポイント増えおり、2013年度と比較すると約7.5倍となっている。これは水力発電の割合(7.5%)を大きく上回っているが、バイオマスも2012年度と比較して発電電力量が4倍以上となり、割合も5.9%に達する。一方で、風力の割合は1.1%と低く、地熱も0.3%に留まっているが、変動性自然エネルギー(VRE)の割合は太陽光と風力を合わせて約12.4%となった。海外では一般的に太陽光発電よりも導入が進んでいる風力発電の割合は、日本ではようやく1%台で年間発電電力量は太陽光発電の10分の1以下にとどまっているが、2013年度と比べると2倍近くとなっている。2023年度の自然エネルギーの発電電力量を月別にみると2023年5月の割合が最も高く、35.1%に達しており、水力が12.2%に対して太陽光が15.6%となっている。変動性自然エネルギー(VRE)の割合は、同じく2023年5月に最も高く、16.5%に達する(図2)。

資源エネルギー庁が公表している電力調査統計などを集計することで日本国内の年間発電電力量に対する自然エネルギーの割合を推計している。この電力調査統計は、全国の電気事業者(2023年度は約1536社)に対して主に出力1MW以上の発電設備のデータを集計し、他事業者からの受電量や自家発電による自家消費の発電電力量なども調査した統計である[1]。ただし、この電力調査統計は電力自由化の影響で2016年度以降の統計データの集計方法が大幅に見直されているため、データの内容についてはある程度の精査が必要である。現状では風力発電のデータに一部不整合があると考えられるため、一般送配電事業者が毎月公表している電力需給データ(1時間データ)から推計した。また、太陽光発電についても、2023年度について電力調査統計、一般送配電事業者の電力需給、FIT買取電力量のデータがあり、2022年度の総合エネルギー統計と比べても年間発電電力量で1割程度のばらつきがあるが、過去のデータとの比較を行うために、ここでは電力調査統計のデータを採用している(図3)。このため、太陽光発電の年間発電電力量の推計については、1割程度の上振れ誤差がある可能性がある。なお、電力調査統計には住宅用太陽光の自家消費分のデータは集計されていないため、FIT制度での送電量から自家消費率(30%)を仮定して推計している。

原子力発電は、2014年度の年間発電量ゼロから九州、関西、四国での再稼働が進んだ結果、2023年度は7.7%となった。その結果、原子力の年間発電電力量は自然エネルギーの2割程度である。

図4に示す通り日本の電源構成においては化石燃料の占める割合は大きく、2023年度の年間発電電力量全体の約3分の2にあたる66.2%に達するが、その割合は2022年度のピーク時(88%)から20ポイント%以上減少している。2023年度の内訳は天然ガス(LNG)が29.0%と最も割合が高いが、前年度の30%から減少した。石炭も28.2%を占めているが、前年度の29.7%から減少した(表1)。石炭火力については効率の悪い発電設備をフェイドアウト(全て廃止)する必要があり、高効率の石炭火力発電設備は脱炭素化に向けた対策をした場合には2030年度以降も残ることになり、対策が進まない場合には長期的にロックインすることが懸念される。パリ協定に整合するエネルギー政策としては、欧州各国のように全ての石炭火力を2030年に向けて如何に早くフェイドアウトできるかが課題である。

図1:日本国内での自然エネルギーおよび原子力の発電量の割合のトレンド
出所:資源エネルギー庁の電力調査統計などからISEP作成

 

図2: 日本国内の全発電電力量に占める月別の自然エネルギーの割合(2023年度)
出所:電力調査統計などよりISEP作成

図3: 統計データによる太陽光発電の年間電力量の比較
出所:各統計データよりISEP作成

 

図4:日本国内の電源構成(2023年度の年間発電量)
出所:資源エネルギー庁「電力調査統計」などからISEPが作成

表1:日本国内の電源構成の推移
出所:資源エネルギー庁「電力調査統計」などからISEPが作成

電源種別

2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2030年度
(第6次
エネ基)
LNG(天然ガス) 35.1%

35.9%

30.9% 30.0% 29.0% 20%
石炭 29.8% 28.8% 29.2% 29.7% 28.2% 19%
石油など 9.9% 10.4% 11.1% 10.6% 9.0% 2%
原子力 6.0% 3.7% 6.5% 5.3% 7.7% 20~22%
水力 7.7% 7.7% 7.5% 7.7% 7.5% 11%
バイオマス 2.8% 3.4% 4.3% 5.1% 5.9% 5%
地熱 0.2% 0.3% 0.3% 0.3% 0.3% 1%
風力 0.8% 0.9% 0.9% 0.9% 1.1% 5%
太陽光 7.6% 8.9% 9.4% 10.6% 11.3% 14~16%
自然エネルギー 19.2% 21.2% 22.3% 24.5% 26.1% 36~38%
VRE 8.4% 9.8% 10.3% 11.5% 12.4% 19~21%
化石燃料 74.8% 75.1% 71.2% 70.2% 66.2% 41%

日本国内の電源構成の推移を1990年代から図5に示す。総発電電力量はピーク時(2007年)から約2割減少しており、2023年度も前年度から減少した。自然エネルギーの年間発電電力量は、2010年度まで総発電電力量の10%で推移してきたが、2023年度までに26%と倍増した。3.11以降、原子力発電の発電電力量は激減し、3.11前の25%以上から約8%と3分の1以下となっている。化石燃料による火力発電の割合は、3.11後に約90%にまで上昇したが、65%程度に減少してきている。

図5: 日本国内の電源構成(年間発電電力量)の推移
出所: 電力調査統計データなどからISEP作成

 日本国内の自然エネルギー発電設備(大規模水力発電を除く)の累積導入量を図6に示す。1990年代は、国内の自然エネルギーは大規模水力発電が主力でそれ以外の導入量はとても小さかった(500万kW程度)。2000年台に入り、2003年からRPS制度により一部の「新エネルギー」の導入が進み、2009年からは太陽光の余剰電力に対するFIT制度がスタートして、2011年度までには大規模水力発電以外の自然エネルギー発電設備も3倍程度になった(1500万kW程度)。2021年からスタートした全量全種を対象としたFIT制度により、太陽光発電は2012年度から2023年度の11年間で設備容量は約10倍の7300万kW(ACベース)となり、自然エネルギー発電設備(大規模水力を除く)は約9300万kWに達した。その中で、風力発電の累積導入量は620万kW(ほとんど陸上風力)で、2012年度からの11年間で約2.4倍となったが、太陽光発電の設備容量の12分の1に留まる。バイオマス発電の累積導入量は約850万kWで、この11年間で木質バイオマスを燃料とする設備が増加して約2.5倍となった。地熱発電および小水力発電については、小規模な設備の新規導入が進んだが、リプレースも多く、地熱発電は約60万kW、小水力発電は約450万kWと累積導入量はほとんど増加していない。

図6: 日本国内の自然エネルギー発電設備(大規模水力を除く)の累積導入量の推移
出所: 資源エネルギー庁データなどからISEP作成

FIT制度による自然エネルギーの導入状況

2012年7月にスタートしたFIT制度により事業認定された設備容量は、FIT制度開始前からの移行認定を含み2023年度末までに1億1110万kWになっているが、その内72%の7950万kWが太陽光である(図7、表2)[2]。実際に運転を開始している設備は8740万kWで2344万kWが未稼働の状況である。事業用(10kW以上)の太陽光発電の運転開始率は約90%に達している。風力発電(20kW以上)は約1630万kWが移行認定を含み事業認定されているが、環境アセスメントの手続きや電力系統への接続手続きの関係で約31%にあたる約600万kWしか運転を開始していない。なお、太陽光発電などの変動性自然エネルギー(VRE)比率の高い電力エリアでは、VREの出力抑制が2022年度から実施されている(九州エリアでは2018年度から)[3]。中小水力については、事業認定が275万kW程度に留まっており、そのうち154万kWが運転を開始しているが、そのうちのかなりの割合が既存設備のリプレースである。地熱発電は事業認定が22万kWと少ない状況だが、運転開始は約14万kWと開発が進んできている。バイオマス発電は約965万kWが事業認定されているが、その7割以上が海外からの木材や農業残さ(PKSやパーム油)を燃料とする設備といわれている。運転を開始したバイオマス発電は650万kWで、風力発電の設備容量を上回っており、運転開始率も67%と高くなってきている。海外から輸入するバイオマス燃料をめぐっては特に液体バイオマス(パーム油など)の持続可能性が問題視されており、持続可能性の基準の設定が進められている[4]

図7: FIT制度における設備の事業認定、導入量(運転開始)および未稼働設備(2023年度末)
出所:資源エネルギー庁データよりISEP作成

表2: FIT制度における設備の事業認定、導入済および未稼働(2023年度末)移行認定を含む
出所:資源エネルギー庁データより作成

電源 事業認定

[万kW]
未稼働
[万kW]
運転開始

[万kW]
運転開始率
太陽光10kW未満 1,555 19 1,536 98.8%
太陽光1MW未満10kW以上 3,143 230 2,912

 

92.7%
太陽光1MW以上 3,249 374 2,874 88.5%
太陽光(小計) 7,946 624 7,322 92.2%
風力20kW未満 11 7 4 38.3%
風力20kW以上 1,862 1,263 599 32.2%
中小水力1MW未満 30 6 24 81.3%
中小水力1MW以上 247 118 129 52.3%
バイオマス 966 320 645 66.8%
地熱 21 8 14 64.2%
合計 11,082 2,344 8,738 78.8%

FIT制度による自然エネルギー発電設備の累積導入量の推移を図8に示す。2016年度までに設備認定が1億2千万kW近くまで進み、未稼働の設備が増えたが、2017年度以降、FIT制度の改定で事業認定への移行などもあり、2022年度末までに運転開始率は約76%に達した。特に太陽光発電の運転開始率は90%近くに達している。

図8:FIT制度による自然エネルギー発電設備の累積導入量と事業認定設備・未稼働の推移
出所:資源エネルギー庁データよりISEP作成

年度毎のFIT制度による年間導入量の推移をみると2014年度が太陽光を中心に1000万kW近くに達して最も大きかったが、その後に減少に転じて2017年度からは年間600万kWから700万kW程度の導入量となっていたが、2023年度は約500万kWまで減少した (図9)。太陽光発電については、2020年度までは500万kW以上の年間導入量だったが、新規の買取価格も急速に低下し、大規模な案件に対する入札制度や2022年度からFIP制度も始まったことから、2021年度からは400万kW台に、2023年度は300万kWまで減少した。一方、これまで導入量が抑えられてきた風力については年間導入量が増加する傾向があり、これまで風力発電は約50万kW以下で推移してきたが、2022年度には年間100万kW以上が新規に導入された。バイオマス発電も2017年度以降、40万kW以上導入され、2022年度は最大の年間131万kWが導入されたが、2023年度は約60万kWに留まった。地熱発電は2023年度に約4万kWが導入され、2019年度の約5万kWに次ぐ導入規模となった。

図9: FIT制度による自然エネルギー発電設備の年間導入量の推移
出所:資源エネルギー庁データよりISEP作成

 FIT制度による買取金額の総額が2024年度には4.8兆円と2023年度の4.7兆円から少し増加する見込みだが、電力会社の化石燃料の減少分である回避可能費用は、化石燃料価格の高騰などにより2.1兆円程度と、前年度の3.6兆円から大幅に減少する見込みである。そのため、2024年度の電気料金への賦課金は前年度の1.4円/kWhから大幅に上昇し、2022年度と同程度の3.49円/kWhとなった(図10)。その中で、2022年度からの現行のFIT制度の根本的な見直しが始まり、FIT制度は地域活用電源(ソーラーシェアリングを含む小規模太陽光、小規模水力、小規模バイオマス、小規模地熱など)では条件つきで維持される一方で、競争電源(大規模太陽光、風力)については新たにFIP制度が導入されるなど大きく変わった[5]。しかし、このFIT制度の見直しには様々な問題点があり、自然エネルギーの導入を本格的に促進する提言を行ってきている[6]

図10: FIT制度による買取費用および賦課金などの推移
出所:資源エネルギー庁データよりISEP作成

日本国内の電力需給における自然エネルギーの割合

日本全国のエリア毎に一般送配電事業者10社により毎月公開されている電力需給データに基づき系統電力需要に対する自然エネルギーの割合などを中心に2023年度の一年間のデータを集計した。日本国内の電力需給データについてはISEPのEnergy Chartでは公表されたデータから様々なグラフでインタラクティブに分かり易くデータを分析できる[7]

日本全体の年間電力需要量に対する自然エネルギーの割合は2023年度の平均値では22.6%となり、2022年度の年平均21.4%から増加した(図11)。内訳としては太陽光発電の割合が10.7% となり、風力発電の1.2%と合わせて変動性自然エネルギーVREの割合は11.9%となった。太陽光は2023年度の10.0%から増加しており、水力発電の8.0%より割合が大きくなっている。バイオマス発電は前年度の2.1%から2.4%に増えている。一方、2023年度の原発の割合は9.3%となり、前年の6.2%から増加した。日本全体の自然エネルギーの電力需要に占める割合の月別の平均値では、2023年5月が32.5%と最も高くなっており、前年の30.3%から増加している。このときVRE(変動性自然エネルギー)の割合も最大で16.5%となり、前年4月の15.4%から増加した。その内訳は、太陽光発電が15.4%、風力発電が1.1%となっている。

 

図11: 月別の日本全国の電力需給における自然エネルギーおよび原発の割合(2023年度)
出所:一般送配電事業社の電力需給データより作成

2023年度の電力需要に対する自然エネルギーの割合の年間平均値が最も高かったのは北海道エリアおよび東北エリアの41.1%だったが、いずれのエリアも水力発電が15.6%、14.6%と比較的大きな割合を占めて、太陽光発電もそれぞれ10.4%、13.6%に達している(図12、表3)。風力発電の割合が8.0%、5.8%と全国の中でも最も高くなっており、VREの割合はそれぞれ18.4%、19.4%になった。バイオマス発電の割合もそれぞれ6.7%、5.5%と全国でも高く、地熱発電もそれぞれ0.3%、1.5%ある。第3位の北陸エリアの自然エネルギーの割合は35.8%だったが、水力発電が26.8%と大きな割合を占めており、VREは6.7%と低い割合だった。

2023年度は1時間値のピークで自然エネルギーの割合が100%を超えるエリアとして、最大123%の四国エリアをはじめ、東北エリア(117%)、北海道エリア(111%)、北陸エリア(100%)の5エリアだった。以前に100%を超えることもあった九州エリアなどでは出力抑制の影響でピーク時の最大でも100%未満になっている。

すでにVREの出力抑制を2018年から実施している九州エリアではVRE出力抑制率が8.4%に達しているが、東京電力以外の8エリアで2023年度にVREの出力抑制が実施された(全国平均は1.8%)。中国エリアの抑制率が3.6%で九州エリアの次に高く、四国の1.8%以外の5エリアは1%未満となっている。太陽光の割合が16.7%で全国でも最も高いエリアになっている四国エリアでは自然エネルギーの割合は35.0%となったが、VREの割合も風力の2.0%と合わせて18.7%となって全国で最も高くなっている。一方、九州エリアでは、2023年度は出力抑制率が全国で最も高く、抑制後のVREの割合が16.7%だったが、出力抑制前のVREの割合は18.2%だった。九州エリアでは、ベースロード電源として優先給電ルールに基づき出力抑制を最後まで行わない原子力発電の比率も再稼働により高まり、4基の原発(合計出力約400万kW)が稼働している時期もあり、2023年度の割合は37.4%に達している。九州本土エリアにおいて2018年10月以降、太陽光発電の増加に伴い、本格的な太陽光や風力の出力抑制が断続的に実施され、2023年度の1年間では出力抑制率は前年度の3.0%から8.4%と2倍以上増加して過去最高になった。

図12: エリア別の電力需給における自然エネルギーの割合(2023年度)
出所:一般送配電事業社の電力需給データより作成

表3: 電力需給エリア別の需要に対する自然エネルギーの割合
出所:一般送配電事業社の電力需給データより作成

エリア RE比率
(抑制後)
VRE比率
(抑制後)
VRE比率
(抑制前)
VRE出力
抑制率
原発比率 水力比率
北海道 41.1% 18.4% 18.4% 0.01% 0.0% 15.6%
東北 41.1% 19.4% 19.6% 0.82% 0.0% 14.6%
東京 14.7% 9.5% 9.5% 0.00% 0.0% 4.2%
北陸 35.8% 6.7% 6.8% 0.56% 0.0% 26.8%
中部 21.8% 12.3% 12.4% 0.24% 0.0% 8.0%
関西 16.2% 6.7% 6.7% 0.15% 30.2% 8.8%
四国 35.0% 18.7% 19.1% 1.75% 24.9% 11.4%
中国 23.9% 15.0% 15.6% 3.64% 0.0% 5.5%
九州 28.7% 16.7% 18.2% 8.35% 37.4% 5.3%
沖縄 10.6% 6.2% 6.2% 0.27% 0.0% 0.1%
東日本 22.2% 12.2% 12.2% 0.27% 0.0% 7.2%
中西日本 23.0% 11.7% 12.1% 3.09% 17.0% 8.6%
全国 22.6% 11.9% 12.1% 1.81% 9.3% 8.0%

2023年度には1時間値で自然エネルギーが電力需要の100%を超えるエリアが、北海道、東北、北陸、中部、四国、中国の6エリアになった(図12の折れ線グラフ)。前年度の2022年度は九州エリアを加えた7エリアだったが、九州エリアでは出力抑制率の増加に伴い2023年は100%を超えることがなかった(最大は92.9%)。一方、四国エリアでは、2023年5月3日10時台に自然エネルギーの電力需要に対する割合が123.1%に達した。このピーク時に太陽光が91.7%、風力が1.4%でVREの割合が93.1%だった(太陽光の最大は93.2%)。さらに、水力の26.4%、バイオマス3.7%を合わせて123.1%となっている。大都市圏でも、出力制御の始まった中部エリアで、自然エネルギーの割合が最大109.2%に達している(太陽光は最大92%)。出力抑制が実施されている九州エリアでは、1時間値で太陽光の割合がピーク時に最大83.2%だった。このとき風力は0.1%で、VRE比率が83.3%に留まっており、出力抑制も実施されていない。一方、九州エリアでは、出力抑制前のVRE比率は、最大で132.5%に達している(2023年4月9日12時台)。このとき、VREの出力抑制によりVRE比率は53.1%まで抑制されている(出力抑制率60%)。

参考情報:

[1] 資源エネルギー庁「電力調査統計」http://www.enecho.meti.go.jp/statistics/electric_power/ep002/

[2] 資源エネルギー庁「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法 情報公表用ウェブサイト」https://www.fit-portal.go.jp/PublicInfoSummary

[3] ISEP「東北・四国・中国電力による太陽光・風力の出力抑制は十分に避けられた」(2022年5月) https://www.isep.or.jp/archives/library/13912

[4] 「バイオマス発電の持続可能性に関する共同提言」(2019年7月) https://www.isep.or.jp/archives/library/12006

[5] 「強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」(2020年2月) https://www.meti.go.jp/press/2019/02/20200225001/20200225001.html

[6] ISEP「地域からの「緑の復興」を〜新型コロナによる3つの危機(経済危機・気候危機・社会分断)を超える〜」2020年7月 https://www.isep.or.jp/archives/library/12694

[7] ISEP Energy Chart http://www.isep.or.jp/chart/